NI 4072

NI 4072は、PXIバス用の6½桁DMMで、キャパシタンス/インダクタンスの測定、および1.8 MS/sの速度での波形集録が可能です。NI 4072の仕様については、関連ドキュメントの「NI 4072 仕様」を参照してください。

インピーダンス

NI 4072は、2線式AC電流技術を使用してキャパシタンスとインダクタンスを測定します。次の図で示すように、電流ソース (Isrc) が検査対象デバイス (DUT) に供給され、NI 4072が測定電圧 (Vm) を決定します。

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わかっている電流と電圧を用いて、NI 4072は、残留直列インピーダンス (Zs) および並列インピーダンス (Yp) がDUTと比較して小さいもしくは無視できるかどうか、DUTのキャパシタンスとインダクタンスを決定します。Zs) と (Ypにより、測定に大きな誤差が生じる場合、NI 4072は補正機能を使用して誤差を測定して縮小します。詳細については、「OPEN/SHORT補正」を参照してください。

NI 4072のキャパシタンスおよびインダクタンスモードの測定レンジについては、関連ドキュメントの「NI 4072 仕様」を参照してください。

相互接続とケーブル

NI 4072モジュールのフロントパネルには、5つのコネクタ (4つのバナナコネクタと1つの9ピン ミニサーキュラDINコネクタ) が装備されています。4つのバナナプラグコネクタは、安全機関認証の高電圧信号対応コネクタです。AUX I/Oとラベル表示されている9ピンDINコネクタは、デジタル信号コネクタで、トリガとSCXI 通信信号を送信します。フロントパネルコネクタと配線についての説明は、NI 4072の「フロントパネルへの接続」トピックを参照してください。

NI 4072の入力コネクタは金メッキ、低熱起電力の銅でできており、優れた低電圧性能を提供します。絶縁素材はLexanの合成材で、あらゆる環境における動作レンジでの漏れ電力を最小限に抑えます。

NI 4072と一緒に使用する場合は、特性がBelden 83317Eと類似したケーブルを選択することを推奨します。このケーブルは、www.belden.comから入手できます。四フッ化エチレン樹脂 (PTFE) テープで包装することで、漏れ電力を最小に抑えることができます。銀メッキの銅伝導体は、低熱起電力であるため低電圧測定に最適です。90%以上のシールド効果のあるケーブルを使用してください。

表 8. Belden #83317E テフロン絶縁ケーブル
絶縁体の種類 AWG 伝導体の素材 1フィートあたりの抵抗値 1フィート当たりのキャパシタンス
TFE 26 銀メッキ銅 (標準) 39 mΩ 35.5 pF

動作

NI 4072は、DMMとしての使用が可能で、最高1.8 MS/sの速度で波形を集録できます。次の表は、DMMモードのNI 4072でサポートされている機能と測定レンジを示しています。

次の表は、波形集録でサポートされている機能とレンジを記載しています。

DMM機能 レンジ
DC電圧 100 mV、1 V、10 V、100 V、300 V
AC電圧 50 mV、500 mV、5 V、50 V、300 V
DC電流1 20 mA、200 mA、1 A
AC電流1 10 mA、100 mA、1 A
2線式抵抗 100 Ω、1 kΩ、10 kΩ、100 kΩ、1 MΩ、10 MΩ、100 MΩ
4線式抵抗 100 Ω、1 kΩ、10 kΩ、100 kΩ、1 MΩ、10 MΩ
ダイオード 10 V (1 µA/10 µA/100 µA時) 、4.5 V (1 mA時)
周波数/周期2 1 Hz~500 kHz / 2 µs - 1 s
キャパシタンス 300 pF、1 nF、10 nF、100 nF、1 µF、10 µF、100 µF、1,000 µF、10,000 µF
インダクタンス 10 µH、100 µH、1 mH、10 mH、100 mH、1 H、5 H

1 NI 4072での標準レンジ外の電流を測定する場合、電流シャントモジュール (CSM) を使用する必要があります。詳細については、「電流を測定する」を参照してください。

2 周波数/周期電圧レンジは、AC電圧レンジと同じです。

次の表は、NI 4072で選択可能な入力抵抗を示しています。NIは、表示されたすべての入力抵抗において完全な確度が保持されるようにNI 4072をキャリブレーションします。

波形機能 レンジ カプリング
電圧波形 100 mV、1 V、10 V、100 V、300 V ACまたはDC
電流波形1 20 mA、200 mA、1 A DC
1 NI 4072での標準レンジ外の電流を測定する場合、電流シャントモジュール (CSM) を使用する必要があります。詳細については、「電流を測定する」を参照してください。
メモ 各レンジのデフォルト入力抵抗は斜体で表示してあります。

その他の機能

  • セルフキャリブレーション
  • オートゼロ
  • オートレンジを構成する
  • オフセット補正抵抗
  • ADCキャリブレーション
  • 入力抵抗
  • 測定タイミングを構成する
  • アパーチャ遅延
  • DCノイズ除去
  • 波形集録
  • シングルポイント集録
  • 測定完了信号を生成する
  • スイッチモジュールをスキャンする

ヒューズを交換する

NI 4072は、F 1.25 A 250 V速断型ヒューズを搭載してDMMとテストシステムを保護するよう設計されています。ヒューズの交換方法については、関連ドキュメントの『NI デジタルマルチメータ スタートアップガイド』を参照してください。

NI 4072をキャリブレーションする

キャリブレーションを行うことで、DMMの確度を最高に保持することができます。確度を保持するためにはキャリブレーションが不可欠です。NIでは、2年に1度外部でキャリブレーションすることを推奨しています。NI PXI/PCI-4070/4072を外部キャリブレーションする方法については、NIの校正サービスWebサイトの『NI 4070/4072 6½ Digit FlexDMM Calibration Procedure』を参照してください。NI キャリブレーション エグゼクティブを使用したNI 4072のキャリブレーションについては、NIの校正サービスWebサイトを参照してください。NI計測器は、すべて出荷前にNISTキャリブレーション証明書を取得します。