AC電圧
- 更新日2023-07-12
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AC電圧
AC信号は、通常、合計エネルギーを表す二乗平均平方根 (rms) 振幅で表します。波形のrmsを計算するには、信号レベルの二乗の平均値の平方根を求めます。NI 4065などの一部のDMMは、非線形信号処理をアナログ領域で行います。しかし、NI 4070/4071/4072とNI 4080/4081/4082は、デジタル信号処理を使用してAC波形のデジタルサンプルからrmsを計算します。従来はアナログの問題であるrmsをデジタル領域で計算することにより、DMMは次の2つの方法でAC測定の速度を向上させます。
- 4サイクルの実波形を使用して完全整定したrms値を計算する
- 信号のDCコンポーネントを自動的に拒否して「AC電圧DCカプリング」モードを可能にする(これにより、従来型DMMに要求される低速設定入力カプリングコンデンサを完全にバイパスする)
結果としてノイズが少なく確度の高い、高速整定AC読み取りが得られます。
DMMで使用するrmsアルゴリズムでノイズの少ない読み取り値を取得するには、最低4サイクルの波形が必要です。たとえば、1 kHz正弦波を正確に測定するためには4 msの測定時間を必要とします。測定時間は、要求分解能を取得できるだけ長い必要もあります。たとえば、40 µsのアパーチャ遅延は100 kHz正弦波のrms値を測定するには十分な長さですが、6½桁確度での読み取りを取得するには足りません。測定波形の周期および希望分解能の両方が必要なアパーチャ遅延の決定に影響します。NI-DMMは両方の要求を満たすため、一番短いアパーチャ遅延を選択します。
デバイスのアパーチャ遅延については、デバイスの測定デフォルト表を参照してください。
図A、B、Cに示すように、測定された波形の周期は、最小周波数成分の周期ではなく、必要な最小アパーチャ遅延を求めます。図Aは、1 kHzの正弦波を示しています。この信号は波形の4サイクルであるため、4 msで測定可能です。図Bは、1.1 kHz正弦波を示しています。この信号も波形の4サイクルより少し長いだけなので、4 msで測定可能です。図Cは、図AとBの信号を加算した信号です。この信号の最小周波数成分は1 kHzですが、4 msecは信号全体のrms値を測定するのに十分な長さではありません。この場合、信号の周期は10 msecなので、正確な測定には40 msecのアパーチャ遅延が必要です。