熱電対には、以下の信号調節が必要です。

  • 高分解能ADCへの増幅—熱電対は通常、mV単位で測定される非常に電圧が低い信号を生成します。これらの信号を集録するには、熱電対の信号を標準の12ビット測定デバイスで正確に測定できる程度に増幅する必要があります。または、高分解能ADCの測定デバイスを使用することもできます。NIでは、増幅機能のある16ビットの分解能のデバイス、または24ビットの分解能のデバイスを使用することを推奨します。
  • 冷接点補償 (CJC)—熱電対は、不要な寄生熱起電力を補償するために何らかの形式の温度基準を必要とします。寄生熱電対は、熱電対を計測器に接続した際に生成されます。計測器の端子は熱電対の導線とは異なる素材で構成されているため、実際の熱電対によって電圧出力が変化する冷接点と呼ばれる接点で電圧が生成されます。

    従来の温度基準は0℃で、米国国立標準技術研究所 (NIST) の熱電対基準表はこの設定に基づいて作成されています。氷浴基準は非常に精密ですが、実用的でない場合もあります。基準の温度を直接読み取り式の温度センサ (サーミスタ、ICセンサなど) で測定し、次に寄生熱電対による熱起電力を差し引きます。この処理は、冷接点補償と呼ばれます。



  • フィルタ処理—熱電対はアンテナのように動作することが可能で、近くの50/60 Hzの電源ソースからのノイズに非常に敏感です。したがって、2 Hzまたは4 Hzのローパスフィルタを熱電対信号に適用して、電線ノイズを除去する必要があります。
  • 線形化—熱電対の出力電源は、温度に対して線形的でありません。したがって、システムでハードウェアまたはソフトウェアによる線形化を行う必要があります。