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Publish Date: Dec 26, 2011


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自社開発か、COTSの購入か:組込開発のトータルコストを理解する

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概要

組込システムを開発する際、システムのどの部分を自分で設計し、どの部分を市販製品(COTS:commercial off-the-shelf)の購入でまかなうのかを決める作業は非常に手間がかかります。自社でカスタムソリューションを設計/構築する場合には、最終製品の仕様に合わせてカスタマイズすることができ、量産時のコストも最適化することが可能です。ただし、その場合には、設計仕様の変更やミスが生じると修正に多大な時間がかかり、その遅延によってコストが増加する恐れがあります。一方、COTSを使用すると売上原価(COGS:Cost Of Goods Sold)が増加し、設計に不要な機能にまで費用を支払うことになる可能性が生じます。それでも、通常は、COTSシステムを使用したほうが設計/検証にかかる期間を短縮し、早期の市場投入を実現できます。 ナショナルインスツルメンツ(NI)は、カスタムでソリューション構築を行う場合と、NIのCOTS品を使用する場合の費用の差額に関する情報やデータをお客様から収集しました。このデータを活用し、組込システムを自社開発したほうがよいのか、それともCOTSを購入したほうがよいのかを判断するために開発したのが「Graphical System Design 'Build vs. Buy' Calculator」(英語)です。このウェブベースのアプリケーションを使えば、カスタムでソリューション構築を行う場合と、COTS品を購入してシステムを構築する場合の費用の差額を計算できます。本稿では、従来のカスタム設計手法とCOTS組込ツールを使用する手法のメリットとデメリットを比較します。

目次

  1. カスタム組込設計 (自社開発)のアプローチ
  2. ハードウェア設計
  3. ソフトウェア設計
  4. 製造
  5. システムの統合
  6. COTS購入によるアプローチ
  7. ハードウェア設計
  8. ソフトウェア設計
  9. 製造
  10. システムの統合
  11. ハイブリッドのアプローチ:NIのグラフィカルシステム設計ツールを活用
  12. 最終決定
  13. 自社開発を推奨するケース
  14. COTSの購入を推奨するケース

カスタム組込設計 (自社開発)のアプローチ

カスタム組込設計には、デジタルハードウェアの設計者や、アナログハードウェアの設計者、ソフトウェア開発者、機械設計者など、多数の専門家の関与が必要です。さらに、その企業が参入予定のアプリケーション/業界を専門としたドメインエキスパート(その分野の専門知識を有するエンジニアや科学者)が設計チームに加わることもあります。その結果、カスタム設計には多くの人物がかかわることになります。

図1. 従来のカスタム設計では、ハードウェア設計者や、ソフトウェア設計者、そのアプリケーションのドメインエキスパートなどを召集した大人数の設計チームが必要となる。

ハードウェア設計

カスタム設計チームは、設計の中核を担う処理/制御装置として使用するプロセッサ技術を選択するという重大な決断を迫られます。プロセッサ技術の例として、このセクションでは、以下の5つを取り上げます。

1. マイクロコントローラ 
マイクロコントローラは非常に優れたコスト効率を実現します。通常は、I/O周辺など、シングルチップの統合ソリューションに用いられます。マイクロコントローラはオンチップのメモリ容量が非常に少ないこともあり、システムを複雑化したり、拡張したりする余裕はほとんどありません。また、クロックレートは数十MHz程度なので、高性能の制御や信号処理ループでの使用は困難です。


2. マイクロプロセッサ
マイクロプロセッサは、クロックレートが高く、一般に外部メモリインタフェースを備えるため、性能や拡張性はそれほど問題ではありません。ただし、オンチップのアナログ周辺機器がないことが多く、アプリケーションでは複雑なドライバ開発が必要となることもあります。また、ボールグリッドアレイ(BGA:Ball-Grid Array)のような高密度パッケージングテクニックでは、より高度な製造プロセスが必要となる場合もあり、ハードウェアのデバッグがさらに難しくなったり、製造費が上昇したりする問題があります。


3. DSP(Digital Signal Processor:デジタル信号プロセッサ)
DSPは、乗算や累算など、特定の数式演算関数を最適化するための命令が追加された特殊なマイクロプロセッサです。DSPは演算負荷の大きいアプリケーションには非常に適していますが、このソフトウェア機能を使いこなすには高い専門知識が必要です。

4. ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)
ASICは、プログラミングによる汎用性を持つものではなく、特定のアプリケーション向けに設計されたものです。消費電力やチップサイズ、商品原価などの事柄を考慮すると、一般に、優れた技術であると考えられています。ただし、ASICの開発/製造には非常にコストがかかるため、大量生産される商品以外での利用には不向きです。

5. FPGA(Field Programmable Gate Array:フィールドプログラマブルゲートアレイ)
FPGAは、カスタムASIC設計と商用技術のちょうど中間に位置づけられます。特定用途に非常に適しているだけでなく、再構成可能なためASIC開発のように高い製造コストがかかりません。FPGAは様々な処理アプリケーションに使用できますが、ANSI C言語の手続き型プログラミングに慣れている組込ソフトウェア開発者にとってVHDL(VHSIC Hardware Description Language:VHSICハードウェア記述言語)プログラミングは馴染みがないことが多いため、複雑なFPGA設計は一般的には利用されていません。


多くの場合、1つのプロセッサ技術だけではアプリケーションのすべてのニーズに応えきれません。そのため、組込システムの開発では近年、図2のようなハイブリッドアーキテクチャが採用される傾向が高まりつつあります。このアーキテクチャでは、リアルタイムプロセッサがネットワーク通信と、場合によってはユーザインタフェースを管理し、同時に、デジタルロジックでI/Oコンポーネントとのインタフェースを管理し、高速制御タスクやタイミング/信号処理タスクを処理します。特に制御/監視ソリューションの構築に向けた組込システム設計では、こうしたハイブリッドアーキテクチャが普及しています。

図2. 高度な組込監視/制御アプリケーションに理想的なハイブリッド方式のハードウェアアーキテクチャ。

 

採用するプロセッサ技術とデジタル設計が決まったら、I/O回路を開発します。アナログ信号を含む組込監視/制御システムでは、A/Dコンバータ(ADC)および/またはD/Aコンバータ(DAC)が必要です。

多くのマイクロコントローラやプロセッサは、ADCやDACを内蔵しています。ただし、より優れたアナログ品質や性能、より多くのチャンネル数を用いるシステムでは、アナログコンポーネントを追加する必要があります。また、設計上のすべてのコンポーネントに電力を供給する電源用回路も必要となります。

さらに、組込設計を配備する環境で確実に動作させるには、適切な機械設計が必要です。コンポーネントの配置や受動的/能動的冷却について考慮することで、高温になるコンポーネントの冷却を図らなければなりません。

ソフトウェア設計

カスタム組込ソリューションでは、デジタル/アナログのハードウェア設計だけでなく、ソフトウェア設計も必要となります。開発費の内訳を見ると、最も高額になるのがソフトウェア設計の費用であるということも少なくありません。処理/制御用に選択したハードウェア上で実行するリアルタイムソフトウェアアプリケーションを開発する場合、その設計には多数の工程が存在し、多数の技術が必要となります。また、制御/監視機能を実装するには、複数の異なるツールやアーキテクチャを使用することになります。カスタム設計におけるソフトウェア開発では、リアルタイムOSに対応したBSP(Board Support Package)の開発や、デバイスドライバの開発、ドライバ用API(Application Programming Interface)の開発、アプリケーション開発といった低レベルのタスクについての専門知識が要求されます。

製造

プロトタイプの開発段階から最終製品の製造段階まで、設計の評価/検証にはプリント基板(PCB)の製造が不可欠です。PCBは安価ですが、複雑なレイアウトや、資本設備などを含む高額な初期費用が必要になります。そのため、多くの企業ではPCBの製造を外部委託しています。PCBは、量産設計におけるコスト効率が高い一方、設計の反復作業に要する時間が長くなることがあります。しかも、プロトタイプの開発段階で複数回の修正が必要となることが多いため、PCBの完成や、最終製品に向けた準備までに遅延が生じる恐れがあります。

最終製品に向けたPCBの製造費用とは別に、製品の保守や維持することにかかる費用についても考慮しなければなりません。こうした費用には、製品の修理などに要する部品の確保/管理や 、製品ライフタイムを通じた製品のアップグレード/メンテナンスにかかる費用などが含まれます。カスタム組込設計では、設計の全工程を設計チームで行うため、製品の維持やアップグレードにかかる費用はかなり高額になります。

システムの統合

PCBなどのコンポーネントやソフトウェアの設計が完了したら、最後に、すべてのコンポーネントをまとめて最終製品を構成する工程に入ります。この工程では、設計した機構部分を筐体に収容したり、追加のアプリケーションソフトウェアを開発したり、複数の電気/機械部品を統合したりする作業も行われます。最終設計に従ってコンポーネントを実装したり、配線したりする作業には時間がかかります。ここで言うコンポーネントは、電源や、メインコントローラボード、ユーザインタフェース、ネットワークインタフェースなど多岐にわたります。初期段階で実装や配線に時間をかければかけるほど、製造工程を簡素化できます。

COTS購入によるアプローチ

機器設計を行うもう1つの方法として、COTSシステム/プラットフォームを購入して使用するという選択肢があります。この場合、ボードコンポーネントの費用は、素材そのもののコストよりもはるかに高額になりますが、低レベルの設計や実装の工程をほとんど省くことができるので、より短期間で製品を市場に投入できます。さらに、この種のシステムは拡張性が高いため、設計コンセプトの構築段階からプロトタイプの開発段階までの間にほぼ間違いなく発生する「機能の詰め込み(フィーチャークリープ)」に対する手間も、大幅に軽減できます。

ハードウェア設計

プロセッサ技術と同様に、組込システムの実装技術についても複数の選択肢があります。COTSプラットフォームは、以下の2つのカテゴリに分類されます。

ボード型組込システム 
複数のフォームファクタ(Mini-ITX、PC/104などの規格)が用意されているボード型組込システムは、COTSの実装においては最もコスト効果の高いシステムです。またこのようなシステムでは、様々なプロセッサアーキテクチャが選べるほか、オペレーティングシステムとI/Oにもある程度の選択肢があります。ただし、そのようなシステムのソフトウェア開発ツールは統合されていないことが多く、また一般に、機械のパッケージングや冷却などの作業に加えて、EMIやCEなどの規格に準拠しているか否かの確認を、ユーザが行わなければなりません。

パッケージ組込システム
ボード型組込システムと同じコンポーネントを搭載しながらも、衝撃や、振動、動作温度、環境認証に準拠した仕様を備えているのがパッケージ組込システムです。この種のシステムは一般に高価ですが、多くの場合、統合されたソフトウェア開発ツールが同梱され、I/Oの選択肢も統合型からモジュール型まで豊富です。

モジュール型のパッケージ組込システムの例としては、PLC(Programmable Logic Controller)や、PAC(Programmable Automation Controller)、工業用PCなどが挙げられます。

あらかじめ構築済みの組込システムを購入する場合でも、多少の機械設計が必要です。ボード型ソリューションを使用する場合、機械設計の作業はパッケージシステムよりも多くなりますが、カスタムソリューションよりは少なくて済みます。通常、パッケージソリューションには熱設計(冷却設計)が施されているため、ボード型ソリューションやカスタムソリューションと比べて実装が容易です。

ソフトウェア設計

既製のCOTSプラットフォームを使うと、カスタム設計の場合のようなソフトウェア設計作業のほとんどが既に行われており、それらの作業を省くことができます。一部のベンダは、自社製ハードウェアに対して、他社よりも優れたソフトウェアアプリケーションのソリューションを提供しています。COTSシステムには、構築済みのBSPや、デバイスドライバ、さらには開発用のアプリケーションレベルのソフトウェアを同梱しているものがあります。また、最も統合性に優れたソリューションを提供するベンダは、ハードウェアツールとソフトウェアツールの両方を提供しています。こうしたベンダの製品を選択すれば、設計チームは開発費を節約することができます。

通常、ソフトウェア開発はカスタムソリューションの開発において最も開発費がかかる工程です。しかし、COTSソリューションを使用すれば、必要なソフトウェア開発者の人数を減らすことができます。そのため、開発費を抑えて、設計プロセスをより効率的に進めることが可能になります。少人数の設計チームでは、設計上の反復作業に費やす時間を短縮して 、最終プロトタイプや最終製品を短期間で開発できるようになります。

NIは、COTSハードウェアと完全統合型のグラフィカルソフトウェアを同梱したグラフィカルシステム設計プラットフォームを提供しています。グラフィカルシステム設計ツールを導入したお客様の事例では、少人数の設計チームでも、COTS製品の導入により、カスタム仕様の組込システムの構築が可能になることが実証されています。システムレベルのソフトウェアツールを使って、プロセッサやFPGA、I/Oを内蔵したハードウェアをプログラミングすれば、従来の1/2の人数で設計作業を完了できます。その結果、組込設計において大きな費用がかかるハードウェア/ソフトウェア開発費の削減が可能になります。

図3. ソフトウェアとハードウェアを統合したCOTSプラットフォームを用いれば、
従来、大人数の専門家を必要とした組込システムの開発作業を、より少人数で行うことができる。

製造

COTS製品を利用すれば、PCBの製造は不要です。時には、特殊なI/Oやタイミング要件に合わせたカスタムのPCBの開発が必要になる場合もありますが、その設計はそれほど複雑ではありません。製品にFPGAを組込むCOTSベンダも増えているので、設計チームはカスタムのPCBを製造しなくても、構築済みのシステムをカスタマイズできるようになりました。

保守や維持にかかる費用という点で、COTSソリューションは、カスタムボードやカスタムデバイスの構築に比べるとはるかにコスト効率に優れていることが実証されています。COTSソリューションの場合、製品に使用している部品の管理や 、環境評価および認証の取得にかかる手間や費用は、ベンダが負担します。そのため、カスタムボードやカスタムデバイスの構築と比べると、COTSソリューションの保守や維持にかかる費用はかなり少額で済みます。

システムの統合

COTSソリューションを購入する場合と、カスタム設計を行う場合とを比べると、システムの統合作業における違いはほとんどありません。COTSソリューションを購入する場合でも、構築済みの組込システムを、他の電気/機械部品と統合する作業が必要です。この作業には、ディスプレイ、センサ/アクチュエータ、ネットワークインタフェースといったコンポーネントとCOTSシステムがやりとりできるようにするための追加のアプリケーションソフトウェアの開発や、実装/配線を効率的に実施するためのソリューションの作成などが含まれます。

ハイブリッドのアプローチ:NIのグラフィカルシステム設計ツールを活用

NIは、NI LabVIEWグラフィカルソフトウェアや、再構成可能なパッケージ/ボード型組込システムをはじめとするグラフィカルシステム設計ツールを提供しています。これらのツールを導入することで、COTSプラットフォームの利便性と、カスタムハードウェアのカスタマイズ性/柔軟性を両立できます。

 

説明: kzgbegrh2921080854951012518

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図4. LabVIEWや再構成可能な組込ハードウェアをはじめとするグラフィカルシステム設計ツールを導入すれば、COTSツールの利便性と、カスタム設計の性能を両立できる。

 

NIの組込ハードウェアは、NI CompactRIOなどの堅牢なパッケージシステムや、PXIなどの高性能パッケージシステム、NIシングルボードRIOなどのボード型システムといった幅広い選択肢の中から選ぶことができます。NIハードウェアシステムは、いずれの製品群も、プロセッサや、FPGA、モジュール式I/Oに、同一の再構成可能なI/O(RIO)ハードウェアアーキテクチャを採用しています。このアーキテクチャのコンポーネントは、それぞれLabVIEWツールでプログラミングできるので、エンジニアリングチームは、ハードウェア設計者とソフトウェア設計者の人数を減らしても、組込システムのプロトタイプ開発や実装をより短時間で行うことができます。LabVIEWはまた、オープンなプラットフォームなので、既存のANSI C/C++コードや、テキストベースの数学モデル、VHDLベースのIP(Intellectual Property)の統合も可能です。

当社のお客様からは、COTSのグラフィカルシステム設計ツールを用いることで、エンジニアリングリソースを平均20%削減でき、市場投入に要する時間を約1/2に短縮できるという成果が報告されています。NI製のツールは、特殊なアナログI/Oや高度な制御と、カスタムの信号処理/制御アルゴリズムを必要とするカスタム仕様の監視/制御アプリケーションに最適です。つまり、新しい制御/信号処理製品を開発しなければならない革新的な分野や業界で、優れた効果を発揮します。具体的には、エネルギーや医療などの分野や、機械制御、大規模な物理実験といったアプリケーションで使用されています。以下に、NI製ツールを使用して組込システムの開発に成功した2社の事例を紹介します。

    1. 中小医療機器メーカーであるKC BioMedix社は、LabVIEWとCompactRIOを導入して、早生児の経口摂取を助けることで生存の可能性を高めるNTrainerシステムという製品を開発しました。当初、同社は組込システムを専門とするサードパーティ企業に設計を委託し、カスタムソリューションを構築しようと考えていました。しかし、それには莫大なコストがかかることが判明したため、開発を社内に移すことに決めました。CompactRIOとLabVIEWを導入した結果、3週間で概念実証を終えることができ、CompactRIOがカスタム組込ソリューションの代用になり得ることが実証されました。

      「LabVIEWとCompactRIOを使用することにより、開発費を25万米ドル削減することができました。さらに、カスタム仕様の制御ソフトウェアやドライバを開発せずに済み、開発期間も4カ月から4週間に短縮することができました。」


      KC BioMedix社の事例について、詳しくはこちらをご覧ください。

    2. NIグラフィカルシステム設計ツールを使用して、市場投入までの期間短縮と開発費の削減に成功した企業として、もう1社、Saara Embedded Systems社の事例を紹介します。同社のエンジニアは、設備の総エネルギー消費量を正確に監視し、制御するために、LabVIEWとシングルボードRIOを利用して、Remote Facility Management System(RFMS)を開発しました。このシステムは、柔軟性に優れた組込リモート端末装置を用いて、インフラの複数のポイントにおける監視と制御を可能にします。RFMSは、効率的なエネルギー消費および最適化を実現する理想的なシステムだと言えます。

      「市場投入までの期間短縮が最優先の課題でした。NIプラットフォームを導入し、シングルボードRIOとLabVIEWを利用したことで、2カ月という極めて短期間での試作が可能になりました。これにより、開発期間を6カ月も短縮できたことになります。」

      Saara Embedded Systems社の事例について、詳しくはこちらをご覧ください。

最終決定

多くの場合、開発か購入かを判断する決定的な要因が技術的機能とならないこともあります。むしろ、コストが決め手になることも少なくありません。製品開発で必要となるエンジニアリングコストの投資回収は最終的な利益によって正当化されるものであり、それで初めて良い決断をしたということになります。

説明: http:/zone.ni.com/cms/images/devzone/tut/image3313087732857837465.png

表1. カスタムソリューションを構築する場合と、COTSシステムを購入する場合の費用の比較。

 

合理的な決断をするには、カスタムソリューションの構築にかかるコストを正確に予測する必要がありますが、それは決して簡単な作業ではありません。ボードのコンポーネントのコストとハードウェア・ソフトウェアの開発時間だけを加算するだけでは、投資総額を大幅に低く見積もっていることになります。本当のコストを正確に把握するには、「隠れた」コストを考慮に入れる必要があります。

例を挙げると、通常、製造費や在庫管理費はシステムのCOGSの25~35%かかります。また、ハードウェアとソフトウェアを統合したパッケージプラットフォームを選択し、ボードの組み上げが不要になる場合でも、ソフトウェアの総開発時間の約30%は、OSやドライバ、ミドルウェアの開発に費やされます。また、環境規制への準拠や認証の取得、耐用年数後のコンポーネントの処分、最終段階における仕様変更と、それに伴う設計変更やゼロからの再設計などにかかる費用も、「隠れた」コストとして計上しなければなりません。

自社開発を推奨するケース

では、カスタムボードや製品は開発しない方が良いのでしょうか?

もちろん、そうではありません。

製品の成功の鍵を握る技術を評価する際には、そのプロジェクトがカスタムアプローチに適しているかどうかを早期に判断しなければなりません。カスタムソリューションを使用すると、最終製品の仕様に合わせたカスタマイズが可能となり、量産時のコストも最適化できます。しかし、設計仕様の変更やミスが生じた場合には、修正に多大な時間がかかり、遅延によってコストが増加する恐れがあります。カスタム設計ソリューションに適した製品の典型的な特徴としては、以下の事柄が挙げられます。

  • 生産台数が大量(年間1万台以上)の場合
  • 設計チームの人数が多い場合
  • 既存のカスタム設計を利用して反復作業を行う場合
  • サイズや形状をカスタマイズする場合
  • 非常に厳しい技術要件(消費電力を非常に少なくする必要があるなど)への対応が要求される場合

年間予想販売台数については、信頼水準にも留意してください。エンジニアや経営者は、販売台数の見積もり、特に発売から2~3年間の販売台数については、過度に楽観的に考える傾向があります。予想販売台数に確信が持てない場合には、まず、時間やコストを節約し、リスクを低減できるCOTSソリューションを採用したほうが利益を確保しやすいかもしれません。販売台数が徐々に増加したら、後からカスタムボードやカスタム製品を製造する方法に切り替えて、コストを最適化するという方法をとることが可能です。

COTSの購入を推奨するケース

NIをはじめとするCOTSベンダは、生産性の高いツールを提供し、企業や少人数のエンジニアリングチームが製品を短期間で市場に投入できるように支援します。そのため、COTS製品を使用できる分野では、ロジスティックスをはじめとし、開発費や、常に新しい技術に追随していくためにかかる維持費などの設計費用はサプライヤに負担させ、自らは製品の改善と収益の向上に直結する技術の差別化に注力することをお勧めします。

新しい技術や製品の革新に取り組む場合、製品の技術的な価値や事業的な価値を見定めるには、プロトタイプを短期間で作成しなければなりません。新製品や新技術については、市場の需要や製品の販売台数を正確に予想することは困難です。このため、クリーンテクノロジや、医療およびライフサイエンス、ロボット工学といった技術革新分野では、COTSツールを導入することにより、多額の資金を先行投資することなく、設計の反復作業とシステムの試作を短時間で完了できるように努めるべきです。その結果、設計チームは設計プロセスの早い段階で、市場のニーズに関する情報や製品に対するフィードバックの収集に集中して取り組むことが可能になります。COTS製品の利用に適したプロジェクトの典型的な特徴としては、以下の事柄が挙げられます。

  • 生産台数が少ない~中程度(年間100台~1万台)の場合
  • 設計チームの人数が少ない場合
  • 新しい技術や製品(クリーンテクノロジや、医療用機器、ロボット工学、カスタム機械など)を開発する場合
  • 市場の需要や可能性が明確でない場合
  • 市場投入までの時間が短く、一刻も早く製造したい場合

追加資料

組込システムを自社開発したほうがよいか、COTSを購入したほうがよいかを判断するための「Graphical System Design 'Build vs. Buy' Calculator」は、こちらからご利用いただけます。(英語)

NI製グラフィカルシステム設計ツールの使用について、詳しくはこちらをご覧ください。

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