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校正とは

校正
計測器に使用されている電子部品の確度は時が経つにつれてドリフトしていきます。このドリフトに環境条件と同じくらい影響するのが使用期間です。時間が経過すると、各部品の値の変化によって計測器に大きな不確かさが生じてしまいます。そしてある時点で、ドリフトによって生じた計測器の不確かさは不明確なものとなってしまい、計測器メーカー側も不確かさを予測できない事態となり、測定結果を保証することができなくなってしまいます。このような問題を解決するためにも、計測器メーカー側で計測器を一定期間内に定期的に校正する必要があります。

校正は、一定の確度を有している基準となる機器とご使用の計測器の性能を比較して行います。校正結果は、確実な基準値と比べた、測定値のずれを文書化したものとなる場合もあれば、実際に計測器の計測機能を調整して計測確度を改善させることを含む場合もあります。

ナショナルインスツルメンツ(NI)の校正の目的は、計測器の計測確度を定量化し、改善させることにあります。適切に校正された計測器を持つことには、以下のメリットがあります。

  • 計測エラーの低減
  • 計測に一貫性を持たせることが可能
  • 製品歩留まりの向上
  • 正確に計測できていることの保証

NI では、多くの計測器に段階的な確度表を提供することにより、計測器の使用期間において、どのような不確かさが予測されるかを示しています。NI では、ハードウェアを定期的に校正に出すことにより、計測確度を確実なものとし、最善の状態でデバイスを使用できるようにしておくことを推奨しています。

トレーサビリティ
トレーサビリティとは、「標準器または計測器がより高位の標準によって次々と校正され、国家標準に繋がる経路が確立されていること」を意味します。トレーサビリティの経路の最高位に位置するのが国際度量衡局(BIPM: Bureau International des Poids et Mesures )で、世界中で一つの一貫した単位系(すなわち国際単位系(SI))を実現するための基礎を提供することを目的としています。これは、51カ国の加盟国を擁するメートル条約(Convention du Metre)に基づいて設立された国際的な研究機関です。BIPM は、国家計測基準を国際比較したり、加盟国に対して校正サービスを展開したりしています。

国家レベルで見ると、それぞれの国に法廷計量機関があります。これらの団体は、BIPM やその関連委員会が規定したガイドラインに則り、質の高い計測基準を設けています。メートル条約に加盟している国の国家計量標準研究所(NMI: National Metrology Institutes)も相互認証協定(MRA: Mutual Recognition Agreement)を締結しています。本文書では、NMI によって発行される校正・計測証明書の相互認証について説明します。

最後に、それぞれの国には、地域ごとの計量方法を監査し認定する認証機関が存在しています。ヨーロッパでは、このような認証機関の多くが EA 多国間協定(MLA: Multilateral Agreement)を締結しており、一つの国で認証されたものは他の国でも認証されるようになっています。このような協定・認証についての詳細情報は http://www.bipm.org/en/home/でご覧いただけます。

NI は製造段階で校正されており、国家基準に対しても、国際基準に対してもトレーサビリティを有しています。北米エリアまたはアジアにおいて、基本校正用に NI に送付された製品については、NIST トレーサブルな校正が行われます。ヨーロッパでは、基本校正サービスは EUROMET で承認された基準(ドイツでは PTB、オランダでは NMI など)に対するトレーサビリティが保証されています。

不確かさ
計測値というのは、実際に計測された「本当の」値に限りなく近い値でしかありません。実際の所、「本当の値」を完璧に計測することは不可能です。これは、私たちが計測を行う際に、常に何かしらの物理的制限がかかるためです。例えば、PCI-6070では、±10 V のレンジに設定して9.5 V の信号を測定した場合、公称の読み取り値との誤差は±14 mV にまで達してしまうこともあるのです。ですから、±10 V DC レンジで行われた計測の不確かさは、ある一点においては±14 mV ということになります。「ある一点において」と言うのは、計測全体の不確かさに影響を与える要因はこれ以外にもあるからです。ボードの校正に使用した全てのデバイスに関連する不確かさもそうですし、計測そのものの統計誤差も要因となり得るのです。

DAQ ボードを使って、例えば9.5 V という一定の値を100回測ったとしましょう。そうすると100個のばらばらの数値が出てくるはずです。数値はもちろん似通ったものとなるはずですが(それぞれ±14 mV の範囲内)、全く同じ数値ということにはならないはずです。システムによっては、戻ってきたデータの平均値を取って、平均値を測定値としてレポートするものもあります。統計の不確かさを確かめるためには、全ての計測からの標準偏差値を割り出し、この値を計測全体の不確かさの一部として含めてしまうことです。計測学においては、このような不確かさはタイプA とタイプB に分類されます。

タイプA の不確かさは、統計的方法によるものを意味します。
タイプB の不確かさは、システムによるもの(ゲイン、オフセットなど)を意味します。