マイクロ​フォン​で​サウンド​を​計測

概要

この​ドキュメント​では、​音​圧​の​基本​や、​マイクロ​フォン​の​仕組み、​センサ​仕様​の​違い​による​マイクロ​フォン​の​性能​へ​の​影響​について​解説​し​ます。


​ ​センサ​を​選ぶ​際​は、​センサ​の​特性​の​ほか、​必要​な​ソフトウェア​と​ハードウェア​が​マイクロ​フォン​計測​を​正しく​調節、​収集、​視覚​化​する​こと​を​考慮​する​必要​が​あり​ます。​例えば、​生音​圧​信号​の​オクターブ​解析​など​の​信号​処理​を​行​って、​人間​の​聴覚​と​同等​の​形式​で​データ​を​表記​する​こと​が​必要​な​場合​など​です。​マイクロ​フォン​計測​に​必要​な​計測​ソフトウェア/​ハードウェア​の​処理​機能​を​より​よく​理解​する​に​は、高​確度​の​センサ​計測​を​実現​する​ため​の​テクニカル​ガイドの​ダウンロード​を​お​勧め​し​ます。

目次

  1. 音​圧​と​は     
  2. マイクロ​フォン​の​仕組み
  3. マイクロ​フォン​を​正しく​選ぶ​には
  4. マイクロ​フォン​の​信号​調節
  5. 参考文献

音​圧​と​は     

空気​や​水、​あるいは人間の耳が感知できるあらゆる媒体の圧力の変化を音と呼びます。​人間​の​鼓膜​が​圧力​の​振動、​つまり​音​を​電気​信号​に​変​え、​それ​が​脳​で​音楽​や​話し声、​雑音​として​認識​さ​れ​ます。​マイクロ​フォン​も​同じ​仕組み​に​な​って​い​ます。​そうした​信号​を​記録、​解析​し、​音源​から​マイクロ​フォン​まで​の​音​の​経路​に関する​情報​を​収集​する​こと​が​でき​ます。​例えば、​通常​ノイズ/​振動/​ハー​シ​ュ​ネス​テスト​では、​自動車​に​乗​って​いる​人​が​走行​中​に​感じる​雑音​など、​不要​な​音​の​除去​が​目的​と​な​って​い​ます。​その​中​に​は、​人間​の​耳​で​聞き取れる​周波数​範囲​外​の​音​や、​特定​の​共振​周波数​における​振幅​の​音​など​も​あり​ます。​その​よう​な​計測​は、​エミッション​規格​へ​の​準拠​や​デバイス​の​性能​と​耐久性​の​特性​評価​において、​ノイズ​の​軽減​が​求め​ら​れ​て​いる​設計​者​に​は​重要​です。

人間は音にさらされ、​音​圧​を​感知​できる​ため、​音​圧​計測​は​極めて​一般​的​に​行​われる​計測​です。​音​圧​レベル​は​パスカル​(Pa)​単位​で​計測​し、​受信​機​が​音​を​どの​よう​に​認識​する​か​を​示し​ます。​また​音源​の​音響​出力​も​特定​でき​ます。​ワット​数​(W)​で​計測​する​音響​出力​(パワー)​レベル​は、​全​方向​に​放射​さ​れる​総​音響​エネルギー​を​表​し​ます。​部屋、​受信​機、​音源​から​の​距離​といった​環境​要因​と​は​無関係​です。​出力​(パワー)​は​音源​の​属性​ですが、​「音​圧」​は​環境、​反射​面、​受信​機​の​距離、​周囲​の​音​など​に​左右​さ​れ​ます。

 

トップ​へ​戻る

マイクロ​フォン​の​仕組み

様々​な​マイクロ​フォン​から​選ぶ​こと​が​でき​ます​が、​最も​一般​的​な​計測​用​マイクロ​フォン​は、​外部​分極​型​コンデンサ​マイクロ​フォン、​プリポラライズド​(自己​分極​型)​エ​レ​ク​ト​レット​コンデンサ​マイクロ​フォン、​圧​電​型​マイクロ​フォン​です。

図​1. マイクロ​フォン​と​は、​音波​を​電気​信号​に​変換​する​トランスデューサ​です。

 

コンデンサ​マイクロ​フォン

コンデンサ​マイクロ​フォン​は、​容量​設計​上​で​動作​する​もの​で、​コンデンサ​の​プレート​を​形成​する​金属​振動​板​が​組み​込​まれ​てい​ます。​振動​板​の​近く​に​配置​さ​れ​た​金属​板​は​バック​プレート​として​動作​し​ます。​音​場​によって​振動​板​が​振動​すると、​2​つ​の​プレート​間​の​キャパシタンス​が​音​圧​の​変化​に​応​じ​て​変化​し​ます。​安定性​の​ある​DC​電圧が高い抵抗を通じてプレートに印加され、​プレート​上の​電荷​を​維持​し​ます。​キャパシタンス​の​変化​は、​音​圧​に​比例​する​AC​出力​を​生成​し​ます。​この​コンデンサ​の​帯電​は、​分極​さ​れ​た​マイクロ​フォン​の​場合​の​よう​に、​外部​分極​電圧​と​素材​自体​の​特性​の​いずれ​か​によって​発生​し​ます。​外部​極性​の​マイクロ​フォン​に​は、​200 V​の​外部​電源​が​必要​です。​プ​リ​ポ​ラ​ラ​イズ​ド​マイクロ​フォン​は、​定​電流​ソース​を​必要​と​する​IEPE​プリアンプ​によって​駆動​さ​れ​ます。

 

図​2. 最も​一般​的​な​計測​用​マイクロ​フォン​(コンデンサ​マイクロ​フォン)​は、​容量​設計​で​動作​する​コンデンサ​マイクロ​フォン​です。

 

圧​電​型​マイクロ​フォン

圧​電​型​マイクロ​フォン​は、​水晶​圧​電​素子​構造​により​バック​プレート​電圧​を​生成​し​ます。​多く​の​圧​電​型​マイクロ​フォン​は、​加速度​計​と​同じ​信号​調節​機能​を​使用​し、​IEPE​信号​調節​を​用​い​て​分極​電圧​を​供給​する​こと​も​あり​ます。​そうした​センサタイプ​の​マイクロ​フォン​は​感度​レベル​は​低い​ですが、​耐久性​が​高​く、​高​振幅​の​圧力​範囲​を​計測​する​こと​が​でき​ます。​逆に​この​タイプ​の​マイクロ​フォン​は、​一般に​フロア​ノイズ​レベル​が​高​く​なり​ます。​この​設計​は​衝撃/​送風​圧力​計測​アプリケーション​に​適​し​てい​ます。

 

トップ​へ​戻る

マイクロ​フォン​を​正しく​選ぶ​には

応答​フィールド

マイクロ​フォン​は、​稼動​する​フィールド​の​タイプ​に​最適​な​もの​を​選ぶ​必要​が​あり​ます。​計測​用​マイクロ​フォン​に​は、​自由​音​場、​音​圧​場、​ランダム​入射​の​3​種類​が​あり​ます。​これらの​マイクロ​フォン​は、​低周波​では​同じ​よう​に​動作​し​ます​が、​高周波​で​の​動作​に​違い​が​あり​ます。

自由​音​場​マイクロ​フォン​は、​1​つ​の​音源​から​マイクロ​フォン​の​振動​板​で​直接​音​圧​を​計測​し​ます。​計測​する​音​圧​は、​マイクロ​フォン​が​音​場​に​導入​さ​れる​前​から​存在​し​てい​た​もの​です。​この​タイプ​の​マイクロ​フォン​は、​硬い​面​や​反射​面​の​ない​広い​場所​に​適​し​てい​ます。​無​響​室​や​さらに​広い​スペース​が​自由​音​場​マイクロ​フォン​に​は​最適​です。

free-field response

図​3. 自由​音​場​型​マイクロ​フォン

 

音​圧​場​マイクロ​フォン​は、​振動​板​の​前​で​音​圧​を​計測​する​よう​設計​さ​れ​てい​ます。​振幅​と​位相​は​フィールド​の​どの​位置​でも​同じ​です。​通常​は、​音​の​波長​より​はるかに​小さい​サイズ​の​囲い​や​空洞​など​の​場所​で​使用​し​ます。​音​圧​場​マイクロ​フォン​アプリケーション​の​例​として、​壁​や​航空機​の​翼、​チューブ​や​ハウジング、​空洞​といった​構造​物​内​の​圧力​の​テスト​が​あり​ます。

図​4. 音​圧​場​型​マイクロ​フォン

 

多く​の​場合、​音​は​1​つ​の​音源​から​来る​わけ​では​ありま​せん。​ランダム​入射​型/​拡散​場​型​マイクロ​フォン​は、​全​角度​から​同時に​届く​音​に対し​均一​に​応答​し​ます。​この​タイプ​の​マイクロ​フォン​は、​教会​や​硬い​反射​性​の​高い​壁​の​ある​場所​で​の​音響​計測​に​適​し​てい​ます。​ただし、​ほとんど​の​マイクロ​フォン​では、​音​圧​応答​と​ランダム​入射​応答​は​似​通​って​い​ます​ので、​音​圧​場​型​マイクロ​フォン​は​ランダム​入射​計測​に​よく​使用​さ​れ​ます。

random response

図​5. ランダム​入射​型​マイクロ​フォン

 

ダイナミック​レンジ

音​を​表現​する​ため​の​主要​基準​で​ある​ダイナミック​レンジ​は、​音​圧​の​変動​の​振幅​に​基​づ​い​てい​ます。​人間​の​平均​的​な​聴覚​で​認識​できる​最低​振幅​は、​2000​万分​の​1​パスカル​(20 μPa)​です。​音​圧​を​パスカル​で​表す​と​圧力​数​が​小​さく​て​扱い​にくい​ため、​より​一般​的​な​尺度​で​ある​デシベル​(dB)​が​使​われる​よう​に​なり​ま​した。​これ​は​対数​スケール​で、​音​圧​の​変動​へ​の​人間​の​聴覚​の​応答​により​近​づ​けら​れ​てい​ます。

メーカー​は、​マイクロ​フォン​の​設計​と​物理​特性​に​基​づ​き​最大​デシベル​レベル​を​指定​し​ます。​指定​した​最大​dB​レベル​と​は、​振動​版​が​バック​プレート​に​近づく​部分​で、​全​高調​波​歪み​(THD)​が​特定​量、​通常​THD​の​3​パーセント​に​達する​部分​です。​特定​の​アプリケーション​で​マイクロ​フォン​が​出力​する​最大​デシベル​レベル​は、​供給​さ​れる​電圧​と​マイクロ​フォン​の​感度​によって​決まり​ます。​特定​の​プリアンプ​と​対応​する​ピーク​電圧​を​使用​し​て​マイクロ​フォン​の​最大​出力​を​計算​する​に​は、​マイクロ​フォン​が​受容​可能​な​圧力​を​パスカル​単位​で​計算​する​必要​が​あり​ます。​圧力​量​は、​次​の​式​で​計算​し​ます。

ここ​で​P = パスカル​(Pa)、​電圧​は​プリアンプ​の​出力​ピーク​電圧

ピーク​電圧​で​マイクロ​フォン​が​感知​できる​最大​音​圧​レベル​を​特定​したら、​以下​の​対数​スケール​を​使​って​この​量​を​デシベル​(dB)​に​変換​し​ます。

ここ​で​P = 音​圧​(パスカル)
​Po = 基準​パスカル​(定数 = 0.00002 Pa)

この​式​により、​特定​の​プリアンプ​とともに​使用​した​場合​に​マイクロ​フォン​が​計測​可能​な​最大​定​格​が​特定​でき​ます。​低​ノイズ​レベル​や​最大​量​の​圧力​が​求め​られる​場合​は、​マイクロ​フォン​の​CTN(cartridge thermal noise)​定​格​を​確認​する​必要​が​あり​ます。​CTN​仕様​と​は、​マイクロ​フォン​内部​に​存在​する​電気​ノイズ​以外​で​検出​可能​な​最小​音​圧​レベル​を​示す​もの​です。​図​6​は、​マイクロ​フォン​を​プリアンプ​と​併用​した​場合​の​様々​な​周波数​における​ノイズ​レベル​を​表​した​一般​的​な​グラフ​です。

図​6. ノイズ​レベル​は​マイクロ​フォン​の​最低/​最高​機能​時に​最大

 

マイクロ​フォン​を​選ぶ​際​は、​テスト​対象​の​圧力​レベル​が​マイクロ​フォン​の​CTN​と​マイクロ​フォン​の​最大​定​格​デシベル​レベル​の​間​に​ある​こと​を​確認​する​必要​が​あり​ます。​一般に、​マイクロ​フォン​の​直径​が​小さい​ほど、​デシベル​レベル​は​高​く​なり​ます。​直径​の​大きい​マイクロ​フォン​は​一般に​CTN​が​低い​ので、​低​レンジ​の​デシベル​計測​に​推奨​し​ます。

 

周波数​応答

マイクロ​フォン​で​必要​な​フィールド​応答​の​タイプ​と​ダイナミック​レンジ​について​検討​したら、​マイクロ​フォン​の​仕様​シート​で​使用​可能​な​周波数​範囲​(Hz)​を​確認​し​ます。​直径​の​小さい​マイクロ​フォン​は、​通常​高​周波数​を​得意​と​し​ます。​一方​直径​の​大きな​マイクロ​フォン​は、​感度​が​高い​ため​低​周波数​の​検出​に​適​し​てい​ます。

メーカー​は、​周波数​仕様​の​通常​許容​値​を​±2 dB​として​い​ます。​マイクロ​フォン​を​比較​する​際​は、​特定​の​周波数​範囲​に​関連​づ​けら​れ​た​周波数​範囲​と​許容​値​を​チェック​する​よう​にし​て​くだ​さい。​重要​度​の​高​く​ない​アプリケーション​なら、​可能なデシベル許容値を上げることができれば、​マイクロ​フォン​の​使用​可能​な​周波数​範囲​を​改善​する​こと​が​可能​です。​特定​の​デシベル​許容​値​で​使用​可能​な​実際​の​周波数​範囲​を​特定​する​に​は、​メーカー​に​問い合わせる​か、​マイクロ​フォン​の​校正​シート​を​ご覧​くだ​さい。

 

極性​タイプ

従来​の​外部​分極​型​マイクロ​フォン​と​最新​の​プ​リ​ポ​ラ​ラ​イズ​ド​マイクロ​フォン​は​ほとんど​の​アプリケーション​に​適​し​てい​ます​が、​多少​の​違い​は​あり​ます。​外部​分極​型​マイクロ​フォン​は、​高温​(120 °C​~​150 °C)​で​の​使用​に​適​し​てい​ます。​この​温度​で​の​感度​レベル​が​より​安定​し​て​いる​ため​です。​プ​リ​ポ​ラ​ラ​イズ​ド​マイクロ​フォン​は、​高​湿度​の​条件下​で​より​安定性​が​あり​ます。​内部​部品​に​結露​が​生じる​よう​な​突発​的​な​温度​変化​が​起こる​と、​外部​分極​型​マイクロ​フォン​は​ショート​する​可能性​が​あり​ます。

外部​分極​型​マイクロ​フォン​に​は、​別個​の​200 V​電源​が​必要​なので、​この​セットアップ​では​LEMO​コネ​クタ​の​付​い​た​7​導線​ケーブル​しか​使用​でき​ま​せん。​新しい​プ​リ​ポ​ラ​ラ​イズ​ド​マイクロ​フォン​の​方​が​普及​した​の​は、​使い​やすい​2-20 mA​の​定​電流​電源​を​使用​する​ため​です。​この​設計​なら、​読み出し​デバイス​へ​の​電流​源​と​信号​の​両方​で、​BNC/​10-32​コネ​クタ​付き​の​標準​同軸​ケーブル​が​使用​でき​ます。

 

温度​範囲

マイクロ​フォン​の​感度​は、​最大​仕様​に​近づく​につれて​低下​し​ます。​そのため​動作​温度​だけ​で​なく​マイクロ​フォン​の​保管​温度​に​も​注意​する​必要​が​あり​ます。​過酷​な​環境​で​の​マイクロ​フォン​を​動作​さ​せ​たり​保管​した​り​すると、​悪影響​を​及​ぼ​し​校正​の​必要​度​が​高まる​可能性​が​あり​ます。​多く​の​場合、​必須​の​プリアンプ​が​動作​温度​範囲​を​制限​する​要因​と​な​って​いる​こと​が​あり​ます。​ほとんど​の​マイクロ​フォン​は​感度​を​落とす​こと​なく​最高​120°C​で​の​動作​が​可能​ですが、​それらの​マイクロ​フォン​で​必要​と​なる​プリアンプ​の​通常​の​動作​範囲​は​60℃​~​80℃​です。

 

トップ​へ​戻る

マイクロ​フォン​の​信号​調節

DAQ​デバイス​で​マイクロ​フォン​を​正しく​計測​できる​よう​に​する​に​は、​以下​の​点​を​考慮​し​て、​全て​の​信号​調節​要件​を​満​た​し​て​いる​こと​を​確認​する​よう​にし​て​くだ​さい。

  • 増幅​により​計測​分解能​を​高め​S/​N​比​を​向上
  • 電流​励起​で​IEPE​センサ​の​プリアンプ​に​電力​を​供給
  • AC​カップリング​を​行​って​DC​オフセット​を​除去​し、​分解能​を​高める​とともに​入力​デバイス​の​全​範囲​を​活用
  • フィルタ​処理​により​外​的​な​高周波​ノイズ​を​除去
  • 正しく​接地​を​行​って​異なる​グランド​電位​間​の​電流​から​ノイズ​を​除去
  • ダイナミック​レンジ​によって​マイクロ​フォン​の​全​振幅​範囲​を​計測

 

マイクロ​フォン​計測​の​調節、​収集、​解析、​表示​の​方法​につきまして​は、高​確度​の​センサ​計測​を​実現​する​ため​の​テクニカル​ガイドを​ダウンロード​し​て​くだ​さい。

 



トップ​へ​戻る

参考文献

http://​www.pcb.com/​microphonehandbookfiles/​microphone_handbook_lowres.pdf

トップ​へ​戻る