温度​センサ​の​概要

目次

  1. 概要
  2. 温度​センサ​を​選択​する​手順
  3. 温度​センサ​の​特性
  4. 次​の​ステップ
  5. 参考文献

概要

温度​を​電気​信号​に​変換​する​センサ​に​は​様々​な​種類​が​あり​ます。​通常​は、​熱電​対、​RTD、​サーミスタ​の​3​種類​です。​それぞれに​固有​の​動作​原理、​メリット、​考慮​点、​デメリット​が​あり​ます。​この​ホワイト​ペーパー​では、​アプリケーション​の​ニーズ​に​最適​な​温度​センサ​を​選択​する​ため​の​情報​を​提供​し​ます。

温度​センサ​を​選択​する​際、​動作​範囲、​感度、​線形​性、​応答​時間​など、​センサ​自体​の​特性​の​ほか、​各​センサ​が​計測​ハードウェア​に​課す​要件​について​も​考慮​する​必要​が​あり​ます。​例えば、​熱電​対​に​は、​サーミスタ​と​違​って​電流​励起​は​不要​ですが、​冷​接点​補償​は​必要​です。​そして、​冷​接点​補償​は、​特定​の​計測​ハードウェアシステム​で​しか​対応​しま​せん。​温度​計測​に​必要​な​計測​ハードウェア​を​よく​知る​ため​に​は、「高​確度​の​センサ​計測​を​実現​する​ため​の​テクニカル​ガイド」​を​ダウンロード​し​て​お​読み​くだ​さい。

表​1​では、​タイプ​別​温度​センサ​の​ハイレベル​な​比較​を​示し​てい​ます。

 

表​1. タイプ​別​温度​センサ​の​メリット​と​デメリット

 

メモ:​この​記事​では​言及​し​てい​ない、​IC​や​光ファイバー​グレー​ティン​グ​など、​他の​温度​計測​センサ​を​使う​こと​も​でき​ます。

表​2​に​は、​ここ​で​検討​し​て​いる​3​種類​の​センサ​の​特性​を​示し​てい​ます。

 

特性

熱電対

RTD

サーミスタ

温度​範囲

極めて​良い

-210​~​1760 ℃

大変​良い

-240​~​650 ℃

良い

-40​~​250 ℃

線形性

普通

良い

良く​ない

感度

低い

中​程度

大変​高い

応答​時間

中​程度​~​速い

中​程度

中​程度​~​速い

安定性

普通

良い

良く​ない

確度

中​程度

高い

中​程度

自己​発熱​し​やすい​か?

しない

はい、​わずか​にし​やすい

はい、​とても​し​やすい

耐久性

極めて​良い

良い

良く​ない

コスト

最も​低い

高い

低い

信号​調節​要件

冷​接点​補償

増幅

熱電​対​断線​検出​機能

スケーリング

励起

リード​線​抵抗​補正

スケーリング

励起

スケーリング

表​2:タイプ​別​温度​センサ​の​比較

 

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温度​センサ​を​選択​する​手順

  1. 計測​器​アプリケーション​と​要件​を​十分​理解​する
    • 温度​は​どれ​くらい​の​速​さ​で​変化​し​ます​か。​適切​な​応答​時間​を​確認​し​て​くだ​さい。
    • センサ​が​配備​さ​れる​時間​は​どれ​くらい​です​か。​あるいは、​センサ​の​使用​可能​時間​は​どれ​くらい​です​か。​保守​回数​を​減らす​ため​に​十分​に​耐久性​の​ある​センサ​を​選択​し​て​くだ​さい。
    • 必要​な​確度​は​どれ​くらい​です​か。​全体​的​な​計測​確度​に対する、​センサ​の​確度​の​影響​を​考慮​し​て​くだ​さい。
  2. 計測​する​必要​の​ある​温度​範囲​を​確認​する
    • 計測​さ​れる​可能性​の​ある​温度​範囲​を​超​えて​も​動作​する​センサ​を​選択​し​て​くだ​さい。
    • 温度​要件​を​満たす​各​タイプ​の​線形​性​を​考慮​し​て​くだ​さい。​電圧/​温度​または​抵抗/​温度​の​変換​確度​が​向上​する​よう​に、​該当​温度​範囲​で​最も​線形​的​な​応答​が​可能​な​タイプ​を​選択​しま​しょう。
  3. センサ​を​実装​する​環境​を​考慮​する
    • いかなる​化学​物質​へ​の​暴露​も​防ぐ、​適切​な​被覆​材​を​選択​し​て​くだ​さい。
    • グランド​ループ/​ノイズ​を​防ぐ​ため​に​絶縁​が​必要​か​どうか​を​確認​し​て​くだ​さい。
    • センサ​が​振動​や​摩耗​に​さら​さ​れる​場合、​それら​に対する​耐性​評価​が​ある​か​どうか​を​確認​し​て​くだ​さい。
  4. センサ​の​取り付け​方​を​考慮​し​て、​温度​の​接続​状態​が​最良​に​なる​よう​な​最適​な​取り付け​方​を​選択​し​て​くだ​さい。
  5. 温度​信号​の​調節、​収集、​解析、​表示/​保存​に​必要​な​計測​ハードウェア​を​選択​し​て​くだ​さい。​詳細​は、「高​確度​の​センサ​計測​を​実現​する​ため​の​テクニカル​ガイド」​を​ご覧​くだ​さい。

 

 

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温度​センサ​の​特性

次​の​特性​を​使​って、​温度​センサ​の​機能​と​性能​を​判断​し​て​くだ​さい。​これら​は​全て​の​温度​センサ​に​適用​でき​ます​が、​注意事項​や​例外​が​あり​ます。​センサ​を​選択​する​際、​それぞれ​の​特性​が​計測​に対して​与える​影響​を​理解​し​て、​プロジェクト​要件​に​細か​く​沿​っ​た​センサ​を​選択​する​こと​が​重要​です。

温度​範囲

センサ​の​温度​範囲​は、​センサ​が​安全​に​動作​し、​正確​な​計測​を​行う​と​評価​さ​れ​て​いる​温度​を​定義​し​てい​ます。​各​熱電​対​に​は、​熱電​対​の​作成​に​使用​さ​れ​て​いる​金属​の​性質​に​基​づ​い​て​指定​さ​れ​た​温度​範囲​が​あり​ます。​RTD​は、​温度​範囲​が​狭い​代わり​に、​線形​性​と​確度​に​優​れ​てい​ます。​サーミスタ​は、​温度​範囲​が​最も​狭い​の​ですが、​感度​に​優​れ​てい​ます。​センサ​を​さらせる​温度​範囲​を​把握​する​こと​で、​センサ​の​損害​を​防​ぎ​つつ、​良好​な​計測​を​実行​でき​ます。

線形性

最良​な​センサ​は、​完全​な​線形​応答​を​備え​てい​ます。​温度​に​単位​変化​が​起こる​と、​センサ​の​温度​範囲​全体​にわたり、​電圧​出力​に​単位​変化​が​も​たら​さ​れ​ます。​ただ、​実際​に​は​完璧​な​線形​性​を​持​っ​た​センサ​は​ありま​せん。​図​1​は、​ここ​で​検討​し​て​いる​3​つ​の​センサ​の​温度/​電圧​応答​を​表​した​もの​です。

図​1. センサ​の​温度/​出力​応答

感度

センサ​の​感度​と​は、​ある​温度​の​変化​に対する、​計測​可能​な​出力​の​割合​の​変化​を​示す​もの​です。​サーミスタ​など​の​感度​の​高い​センサ​ほど、​熱電​対​など​の​感度​の​低い​センサ​より​も、​小さな​温度​の​変化​を​検出​し​や​すく​なり​ます。​ただし、​この​感度​が​高い​と、​線形​性​は​損​な​われ​ます。​計測​する​温度​に対して​最適​な​センサ​を​選ぶ​際、​これ​は​重要​な​要因​となり​得​ます。​狭い​温度​範囲​で​ほんの​わずか​な​変化​を​とら​え​よう​という​場合​は、​サーミスタ​や​RTD​が​より​適​し​てい​ます。​広い​温度​範囲​で​大きな​温度​変化​を​とらえる​場合​は、​熱電​対​で​十分​かも​し​れ​ま​せん。​図​2​から、​出力​電圧​の​違い​が​わか​り​ます。

図​2. 異なる​タイプ​の​温度​センサ​の​感度

 

応答​時間

応答​時間​と​は、​温度​の​変化​に​センサ​が​応答​する​の​に​要する​時間​です。​応答​時間​の​長​さ​を​左右​する​要因​は​たくさん​あり​ます。​例えば、​RTD​や​サーミスタ​は​大​きく​なるほど​応答​時間​が​遅​く​なり​ます。​この​デメリット​が​ある​こと​と​熱​が​うまく​分​路​しない​代わり​に、​大きな​RTD​や​サーミスタ​は​自己​発熱​による​エラー​の​影響​を​受け​に​く​く​な​って​い​ます。​同様​に、​接地​なし​の​熱電​対​接合​点​は、​絶縁​さ​れる​代わり​に​応答​時間​が​遅​く​なり​ます。​図​3​は、​接地​あり​と​接地​なし​の​熱電​対​の​応答​時間​の​相対​的​な​違い​を​表​し​てい​ます。

図​3. 接地​あり​と​接地​なし​の​熱電​対​の​応答​時間

 

安定性

温度​センサ​の​安定性​と​は、​与​え​ら​れ​た​温度​で​一貫性​の​ある​出力​を​維持​できる​こと​を​指し​ます。 センサ​の​安定性​において、​材質​は​重要​な​役割​を​果​た​し​ます。​RTD​は、​この​理由​から、​また、​反応​性​を​低​く​する​ため​に、 大抵​白金​で​でき​てい​ます。​ただし、​白金​が​接合​さ​れ​て​いる​回路​基板​は、​高温​に​長時間​さら​さ​れる​と​変形​する​可能性​が​あり​ます。​変形​する​こと​によって、​予測​せ​ぬ​余分​な​歪み​が​生​じ、​計測​した​抵抗​に​変化​が​生じる​こと​が​あり​ます。

確度

どの​計測​アプリケーション​の​場合​も、​信頼​性​の​高い​結果​を​得る​に​は、​確度​の​ニーズ​を​理解​し​て​おく​こと​が​重要​です。​計測​の​絶対​確度​を​実現​する​に​は、​センサ​および​計測​ハードウェア​の​選び方​が​重要​です。​しかし、​配線、​他の​装置​と​の​相対​的​な​近接​性、​シールド、​接地​といった​詳細​全て​が​確度​に​影響​する​可能性​が​あり​ます。​センサ​を​選ぶ​とき、​規定​の​許容​差​と、​その​仕様​に​影響​する​可能性​の​ある​全て​の​要因​(高温​に​長時間​さらす​など)​を​確認​し​て​くだ​さい。​また、​同様​の​確度​が​備​わっ​た​センサ​と​計測​デバイス​を​選ぶ​よう​に​注意​し​て​くだ​さい。​厳しい​許容​差​を​備え​た​RTD​は​コスト​も​かさ​み​ます​が、​低​品質​の​計測​デバイス​を​使​え​ば、​確度​を​高める​こと​は​でき​ま​せん。

耐久性

アプリケーション​の​持続​期間​中、​適切​に​温度​センサ​の​動作​を​継続​させる​に​は、​これらの​センサ​を​実装​する​環境​を​把握​する​必要​が​あり​ます。​一部​の​センサ​(熱電​対​など)​は、​その​構造​から​元々​他の​センサ​より​耐久性​に​優​れ​てい​ます。​ただし、​特定​の​熱電​対​に​使用​さ​れ​て​いる​金属​は、​異なる​耐食性​を​備え​てい​ます。​さらに、​絶縁​体​と​なる​鉱物​と​保護​用​の​金属​被覆​で​包​まれ​た​センサ​は、​長期間​にわたる​摩耗​と​腐食​により​強​く​なり​ます​が、​コスト​が​より​高​く​なり、​感度​が​低下​し​ます。​また、​センサの構成が異なれば、​特殊​な​取り付け​要件​に従って、​物理​的​および​温度​的​な​接続​を​しっかり​と​確立​する​必要​が​あり​ます。

コスト

プロジェクト​の​いかなる​観点​から​も、​コスト​は​大きな​制限​要因​となり​得​ます。​例えば、​多​チャンネル​アプリケーション​では、​RTD​の​線形​性​の​メリット​より​も、​熱電​対​に対して​相対​的​に​コスト​が​高​く​なる​こと​の​ほうが​重視​さ​れる​かも​し​れ​ま​せん。​また、​システム​全体​の​コスト​を​考える​とき、​配線、​取り付け、​信号​調節​によって​コスト​が​追加​さ​れる​こと​も​考える​必要​が​あり​ます。

信号​調節​の​要件

温度​センサ​の​各​タイプ​は、​計測​した​信号​を​適切​に​収集・​デジタル​化​し​て​処理​を​行う​ため​に、​ある​一定​の​レベル​の​信号​調節​を​必要​と​し​ます。​選択​する​計測​ハードウェア​は、​確実​に​高​確度​計測​を​行う​うえ​で、​センサ​と​同じ​くらい​重要​で​あり、​各​センサ​の​タイプ​の​デメリット​を​軽減​した​り、​悪化​さ​せ​たり​する​可能性​が​あり​ます。​これらの​信号​調節​機能​に​は、​次​の​もの​が​含​まれ​ます。

  • 増幅
  • 冷​接点​補償​(熱電​対​のみ)
  • フィルタ
  • 励起​(RTD​および​サーミスタ​のみ)
  • オフセット​誤差​調節
  • 温度​単位​へ​の​スケーリング
  • リード​線​抵抗​補正
  • チャンネル​間​の​絶縁
  • 熱電​対​断線​検出​(熱電​対​のみ)

温度​計測​に関する​これらの​機能、​また​その他​の​ハードウェア​に関する​考慮​点​の​詳細​について​は、「高​確度​の​センサ​計測​を​実現​する​ため​の​テクニカル​ガイド」​を​ダウンロード​し​て​くだ​さい。

 

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次​の​ステップ

各​センサタイプ​の​動作​理論​および​違い​の​詳細​について​は、​次​の​センサ​別​ホワイト​ペーパー​を​ご​参照​くだ​さい。

 

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参考文献

http://​www.omega.co.uk/​temperature/​Z/​pdf/​z019-020.pdf

http://​www.engineeringtoolbox.com/​temperature-​sensors-​d_448.html

http://​www.itsirl.com/​admin/​pdfmanual/​1420797923pt100acc.pdf

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